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ヨーデルニュース 第2号

夏山特集


お薦めの山

雲上のチョットハードな散歩道
  • 北アルプス、槍ヶ岳〜穂高岳縦走
  • 3泊4日、歩行27時間、中上級者向き

    松本〜沢渡〜上高地 −(3:00)− 横尾 −(2:00)− 槍沢ロッジ(泊)
    槍沢ロッジ −(4:30)− 槍ヶ岳山荘 −(0:30)− 槍ヶ岳山頂 −(3:30)− 南岳小屋(泊)
    南岳小屋 −(3:30)− 北穂高岳 −(2:40)− 穂高岳山荘(泊)
    穂高岳山荘 −(0:50)− 奥穂高岳 −(1:40)− 前穂高岳 −(3:00)− 岳沢ヒュッテ −(2:00)− 上高地

  • 必要最小限の装備で行動する事をお薦めします。
  • 南岳から北穂高岳(キレット)の通過、特に下りは慎重に
  • 前穂高岳より岳沢ヒュッテの下り、滑り易いので慎重に
  • 槍沢雪渓から穂高の岩尾根では落石、滑落に注意して下さい。
  • 早朝に上高地を出発して槍ヶ岳山荘まで足を延ばしておくと、翌日に北穂高山荘まで行け、2泊3日の行程でも可能。
原生林と泉と秀峰の山旅
  • 北八ヶ岳、ミドリ池〜天狗岳
  • 1泊2日、歩行9時間30分、初心者向き

    小海線松原湖〜稲子湯 −(2:00)− ミドリ池 −(2:00)− 黒百合平ヒュッテ(泊)
    黒百合平ヒュッテ −(1:15)− 天狗岳 −(1:10)− 夏沢峠 −(0:40)− 本沢温泉 −(2:30)− 稲子湯

  • ミドリ池から黒百合平にかけての原生林、しらびそ小屋(ミドリ池)の野生リス、天狗岳よりの南八ヶ岳や富士山の展望など素晴しい。
  • 本沢温泉で野天風呂に入るもよし。
伝説と奇怪な岩峰とスリルの山
  • 信州、戸隠山
  • 日帰り、歩行6時間、中上級者向き

    戸隠奥社入口 −(0:40)− 奥社 −(0:50)− 百間長屋 −(1:00)− 八方睨 −(0:50)− 九頭龍山 −(0:50)− 不動 −(1:20)− 戸隠キャンプ場 −(0:30)− 奥社入口

  • 奥社までの杉木の見事さ。 蟻の戸渡りのスリル。 帰りの信州ソバ。

ヨーロッパアルプスの夏休み (No.1 イタリア ドロミテ編)

チベッタ北西壁敗退

1970年5月20日、K君と私は横浜から船でナホトカ〜シベリア〜モスクワ経由で7日間かけ、ウイーンにたどり着く。 5月29日、最初の目的地、イタリア ドロミテ山群の大岩壁に囲まれた小さな町、アレゲに到着。 休養十分。

「6月2日」チベッタ北西壁にアタック開始。 高度差1000m、垂直の大岩壁に手を懸け、ザイルに結ばれた友と一歩一歩高度を稼ぐ。 取付きから7時間、500m程登っただろうか。 暗闇がせまって来たので今夜の宿は巾30cm程の岩棚に決める。 ハーケン、カラビナ、ザイルで身体を岩壁に固定し、眠りにつく。 夜半、サラサラとの音で目がさめると雪が降っていた。 身体と岩壁の間に雪が溜り、何度と無く空間に投げ出されそうになる。

「朝ダー」何てコッター。 白亜の城の中に閉じ込められ、壁からは泡ナダレが休む間も無く。 命からがらにアレゲの町に。 退却の悔しさを噛締めながら…。

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トーレベネチァ南壁の登攀

「6月7日」ドロミテ山群で最難度に数えられている岩壁、トーレベネチァ南壁に向かう。 霧が濃く取付きが解らず、アルバータの山小屋で3時間ロスしてしまう。 霧が上がり、目前に500mの墓石に似たトーレベネチァピークがそびえ立っている。 登りきれるか。 不安が脳裏を過ぎる。 10時、戦闘開始。 仲間とトップを交代しながら、快調なペースで下部の150mを終了。 核芯部、オバーハングが連続する壁が、私達を拒否するかの様に待ち構えている。 クライミングの最難度、6級のフリーに挑戦。 指、腕、ふくらはぎの限界を感じながら、尺取虫如きに、一歩又一歩攀じる。 苦闘9時間、核芯部を、クリアした頃には、夕闇が迫って来た。 朝のロスタイムが痛い。 水も食糧も無い。 それに増し不安定なテラスでビバーク。 長い辛い夜も明け、傾斜の少し落ちた岩場150mを登ると、そこは、さえぎる物の何も無い空間が広がる。 トーレベネチァ山頂だ。 友と握手。

山が険しければ険しいほど、たえず死の危険にさらされる。
死を甘受しなければ、真のアルピニズムは存在しない。
やり遂げた者だけが知る、満足感。安堵感。心地よい疲労感。

より高く、より困難を求めて、数日後、ドロミテを後にフランスのシャモニーに旅発つ。 ボンジョルノ、ドロミテ。チャオ、チベッタ